MUJINAトップページ>製品情報>「たとえ、世界を隔てても。」詳細

あらすじ
銀髪の少し不思議な転校生、英尾蔵人。
貴女は、彼と同じクラスの女の子。
偶然、彼の隣の席になったことと、
「校舎を案内してあげて」と先生に頼まれたことがきっかけで、
この2週間、何かと奇妙なボケをかます彼の面倒を見てきた。
「犬の鳴き声に聞こえたものは、僕の故郷からの暗号通信だ。
大丈夫。そう珍しいことじゃない。
きみの見ていないところで、1日に数回はこうしている」
──実は彼は、異世界からやってきた、世界観測員だったのです。
そんな貴女と彼の、ちょっと不思議な心のやりとり。
『雪白学園のゆかいな人々』シリーズ第六作は、シナリオライター・桜井光が
「おかしな異世界人さん」キャラをフィーチャーした、バラエティタイプのコンセプトCDです。
時空を繋ぐタンホイザー・ゲートが開く時、彼と貴女は……。
すこしふしぎ(SF)な恋物語、CD収録時間60分オーバー!
登場キャラクター紹介
高等部2年2組にやって来た転校生。 |
内容紹介
01『観測員報告307号』
蔵人 『7日前……。
初めて僕を見たきみは、どんな顔をしていたろうか。
僕はよく憶えている。
担任教師から「学園の案内をするように」と言われたきみは、
少し、困った風だった』
蔵人 『けれど、きみは僕に話し掛けてくれた。
他のクラスメイトたちと変わらないように?
友達のように?
この世界の多くを知らない僕には、よく、分からないけれど』
蔵人 『僕はきみの声を聞いた。
僕はきみの瞳を見つめた。
そうして、1日目が終わる頃には、僕の耳と目はきみのそれらを
どうしようもなく記憶してしまった』
蔵人 『元の世界であるなら、
なぜ、僕は最優先であるはずの任務とは他に
きみのことをこれほど記憶してしまったのかを
マザー・コンピューターに尋ねていたはずだ。
けれど、この世界にマザーはいない。
だから僕は、システムに頼らず、僕自身だけできみのことを考える』
蔵人 『朝、毎日同じ時間、1秒の狂いなく正確に、教室を訪れる。
朝、毎日同じ時間、きみの顔を見るために。
きみのことを考えながら』
蔵人 『なぜ、僕は、こんなにもきみのことを想うのだろう。
僕は任務のために最適化されているのに。
任務のために訓練された頭脳の片隅に、いつも、きみの姿がある。
不思議なことだ。不可解なことだ』
蔵人 『僕は2日目の終わりに考えた。
なぜ僕は、きみを想うのか。
僕は、きみの何に惹かれるというのか。
僕は考えた。そして、導かれた答え、推論は……。
きみの……』
蔵人 『笑顔、だった』
08 続・秘密の花園で
蔵人 「きみのふとももが──
これは、ええと、あれだ。膝枕というやつで」
蔵人 「ん。ふともも言うな?
ふともも、というのは間違った言葉だったかな。
いや、間違えていないはずだが……」
蔵人 「きみのふとももの感触は、とても素晴らしいものだ。
柔らかくて、心地良い……。
同じことを二度言ってしまったが、本当にそうなのだから……」
蔵人 「誇ってよいと思う。
しなやかで、柔らかで……」
蔵人 「ん……?」
蔵人 「そんなに、顔を、赤くして……。何だ?」
蔵人 「す、すまない。その……。
こういう風に、誰かの膝に頭を載せたのは初めてで」
蔵人 「お、大いに慌ててしまって、いる。すまない。
本当にすまない。僕は、そうか、気を失って、それで、
きみがこうして僕の頭の位置を固定してくれたのか」
蔵人 「ありがとう……。
ああ、うん。初めてなんだ。膝枕、というものは」
蔵人 「……母親にしてもらわなかったの、か。ああ。
母親はいない。いや、生物学的な母はいるけれど、
僕らは、きみたちのように親に育てられることはないから」
蔵人 「専用の教育施設で育てられる。
親の情愛というものは、成人のすべてが持つもので、
特定の誰かを育てたり、あやしたりすることはないんだ」
蔵人 「……どうして、そんな顔をするのかな。
普通のことだよ。僕の元いた世界……いや、国では」
蔵人 「ありがとう。
きみが、僕のことに僅かでも興味を抱いてくれて、
そうして、感情を浮かべてくれることに、
僕は何よりも喜びを感じる。それに……」
蔵人 「……温かいんだな。誰かの、体、というのは」